2008.04.04 桜のもとで
風は暖かさを運んでゆく。
今年も、柔らかな花びらが散ってゆく。
期待に満ちた子供達とは対照的に、私はウンザリする。
この時期は煩くて五月蝿くて、全てが煩わしい。
みんな、みんな、散ってしまえばいい。
私のように、理不尽に枯れて行けばいい。
人々の笑い声はまるで、馬鹿にしているようで、嘲っている気がして、不愉快極まりない。
肌を擽り、肉を貪るこの虫達は私の存在を消そうとしているかのようで。
ただ己の飢えを潤す為だけだろうに。
それでも、憎くて、憎くて、憎くて、憎くて、憎くて、
恨むべき相手は見当たらなくて、思い出せなくて、悔しくて、
私を埋めたのは誰?
私を殺したのは誰?
早く誰か見つけて、私を見つけて、誰か誰か誰か見つけて見つけて!
消える、消えちゃう、急いで、私の体が、来ないで来ないで、消さないで!
お願い助けて助けて助けて、あああああああ
あの男が、わたしを、あいつ、がわたし、をころ、したの、に、
もうきえ、ちゃう、きえ――――
今年も私は私を吸い上げて、咲き乱れる。
美しく、美しく、私の体は、
それは繰り返し、何度も何度も生き血を啜り、美しく咲き乱れる。
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