2008.11.16 しゃぼん玉
何度も息を吹き込んで、円筒の先からふわふわと虹色に輝く球体をつくり出す。
息が詰め込まれた石鹸水。それらの球体達は頼りなげにゆれている。
風にあおられくっ付いてしまったものは完全に融合することはなく、間には一枚の隔たりがある。うまく融合しても、さらに大きさをましながらもなんら変わることなく漂うのだ。
障害なく弾けたものは少量の水滴をとばして消えた。
地までたどり着き砕けたものは、少し地面を黒くしてしかしすぐに浄化された。
壊れゆくものたちの、何かしらの痕跡は時とともに薄れてゆく。
つくられるまえに、おちる前に、消えるものもある。
「きれい」
呟き、そしてまたつくりだす。
同じ動作を飽きずに、繰り返す。
彼はつくり続けた。
「あー、神様ってばまたやってるんですか? これ以上ふやさないでくださいよ!」
「どうして」
「だってもう隙間がないじゃないですか」
「大丈夫だよ。すぐ、消えるから」
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