2008.08.17 鏡のようでいて境界のような
水面に映る山や月や夕日がとても好きだった。
美しいとは思わない。ただ、全ての醜いものを誤魔化してくれるような気がして、日に何度も水面を眺めた。
ある日水面にふと陰がさしかたが振り向く事も無くただ静かにその人型を見据えた。
しかし、それから何度も水面は人型を移し、水面の向こうでただ静かに佇む人型のように自分も同じ様にただ立ち尽くした。
いつもいつも人型はそこで立ち尽くすからついに気になってふとそれの正体を探ろうとした。
だが、振り向いた所でそこに誤魔化される事も無く佇む人は居なかった。ゆらゆらと自分におちる陰が憎らしかった。
そしてまた水面を見上げて、嗚呼、誤魔化されていたのは此方の方だったのだとやっと思い出したのだ。
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