2010.02.23 ぼくらの冷蔵庫
冷蔵庫の中には怯えた瞳、此方へおいで、科白はどちらのものだろうな。
ぼくらは鼻白んだ。めんどくさくて仕方ない。
空を仰ぐつもりで嘘くさい灯りに出くわして、結局同じ箱の中。
逃げられないことを知ったら何か変わるかな。考え足らずのぼくに教えて。
ぼくは君を引きずりだして、冷蔵庫は空っぽになった。大嫌いだよと囁き掛ける。君も大嫌いだよと震えた。
その手は温くて救うふりして抱き寄せた。
結局ぼくは君よりつめたくて。つめたくって。ちょっとないた。
一緒に入ろうか、ねえ。冷蔵庫の中へ。
君は青ざめた顔が白くなったころにぼくへ問うた。小さくうなずくとささやかな笑いがふたつ。
君はゆっくりとした所作でぼくを冷蔵庫へおしこんだ。そうして君もここへ。
抱きしめるそんな暖かさが僕をまた苦しませる。
さあ、ねむろう、ねむろう。
ふたりで眠り続けようね。
君はぼくの声でぼくをやさしくなぐさめた。
うん。ねむろう、ね。
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