2009.08.27 彼女と私
「今がよければ」
それでいいの、と私の唯一の友は言った。
私は、ああそうと軽く頷いてかたかたとキーボードをたたく。
彼女はいやな事があると必ずここにくる。
黙々とパソコンに向かっていても気にするそぶりすらみせず、ただ楽観的な言葉を繰り返す。
「貴方はきっと私の仲間でしょう」
能面のような笑みは少しうつろで、ああそうねと私は思う。
今がよければ、なんて考えは特に無いのだけれど。
状況は彼女よりも私のほうがその思想に近い気がする。
いつまでもこの家に居られるなんて思ってはいないし、いつか自立するということをぼんやり考えているだけの日々。
自堕落に過ごしているのはいまだけ、そうなんの根拠も努力も無く思っている。
「ねえ、今がよければそれでよかったの」
彼女の声がすとんと落ちてきた。
泣いている様な声だった。表情は相も変わらずうつろだった。
「今がよければそれでよかったの」
そうしたら、今は、今は、
「あっという間に消えてしまったのよ」
私は彼女を殴りつけた。
わけも無く、否、これ以上何も言わせないよう、殴りつけた。
真っ黒な液晶画面をひたすらに殴りつけた。
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