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紅い徒花

2010.02.24 かりそめ

影が落ちるたび 
薄くのびた幸福ごと
葬りさりたいと切に思う
本当を共有するつもりはない
嘆くことで蝕んでいく心は
誰にも見ることはできないから

箱の中で出会えたら
偽善者になれる
笑顔も嘘も抱いてゆける

言い聞かせるのに慣れてしまった
残酷さを誰が笑ってくれる
眩むほどに同じ光景が
浮かんでは消える
いつか透明になれるかな


暴かれていくたび
ざわめいた耳鳴りが
うんざりだと叫んでる
吐気を増長させてゆくから
臆病さを殺してやりたかった
誰にも救われたくなかったから

夢の淵で出会えたら
救世主になれる
残響も受け入れられる

疲れ果てるのに飽きてしまった
愚かさを誰が認めてくれる
弛むほどに同じ罵倒が
浮かんでは消える
いつか透明になれるかな
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2010.02.23 ぼくらの冷蔵庫

冷蔵庫の中には怯えた瞳、此方へおいで、科白はどちらのものだろうな。 
ぼくらは鼻白んだ。めんどくさくて仕方ない。
空を仰ぐつもりで嘘くさい灯りに出くわして、結局同じ箱の中。
逃げられないことを知ったら何か変わるかな。考え足らずのぼくに教えて。
ぼくは君を引きずりだして、冷蔵庫は空っぽになった。大嫌いだよと囁き掛ける。君も大嫌いだよと震えた。
その手は温くて救うふりして抱き寄せた。
結局ぼくは君よりつめたくて。つめたくって。ちょっとないた。

一緒に入ろうか、ねえ。冷蔵庫の中へ。

君は青ざめた顔が白くなったころにぼくへ問うた。小さくうなずくとささやかな笑いがふたつ。
君はゆっくりとした所作でぼくを冷蔵庫へおしこんだ。そうして君もここへ。
抱きしめるそんな暖かさが僕をまた苦しませる。
さあ、ねむろう、ねむろう。
ふたりで眠り続けようね。
君はぼくの声でぼくをやさしくなぐさめた。

うん。ねむろう、ね。

[小説]

2010.02.21 咀嚼する

噛み砕け 飲み干せ
止まるな 逆らうな

なんて自由なルールだろうね
空腹を満たす夢が果ててゆく
狡猾な子供たちは濁った瞳
そんな曲折をみないでくれ

滴り落ちる声も思考も
受け止める腕はもういない
怪物が私を喰らって
ばりばりと音を立てた
これで私は夢の中


跪け 突き刺せ
否定しろ 認めるな

なんて爛れた我侭かしら
残酷を宿して空が落ちてくる
傷跡は透明で痛みは鈍い
僅かな光をも消してくれ

嗤い指差す顔も罵倒も
思い出す街灯はもういない
怪物が私を抱きしめ
ばりばりと音を立てた
これで私は闇の底


私はとても悧巧で醜悪
私はとても貧弱で卑怯
ゆっくりと喉を上下させる

怪物が私を、

[]

2010.02.03 躯

無気力を担いで沈んでいては
誰かが指をさすのだろうか
それとも心地良い無関心で
私を終わらせてくれるのか

眼球を押さえつけて
暗闇に傾いたり
救われる手立てはあるのに
どうして立ち止まることに
怯えたりするのだろう

愚かしいなんて逃げ道で
結局のところ私は汚いだけ
暴かれることに揺れている
惨めなこの頭痛を壊して


雑踏を潜り抜けて震えていては
誰かが狂い叫ぶだろうか
おそらく影すら刻まれない
言葉を落とすだけなのか

罪悪を押し殺して
呼吸を止めたり
救われる手立てはあるのに
どうして誰かの嫌悪に
臥せるのだろう

哀しいなんて懺悔で
いったい何に跪けばいいの
終わることに安堵してる
惨めな私を壊して

壊して 壊して 壊して

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