2009.09.26 ハイド
褪めた瞬間に
貴方を憾めるだろうか
傍に欲しかったのは
ただのエゴだった
待っていてと扉を閉める
いつまで叫んでは逃げたがる
数多の矢がこの世界を貫く
貴方の瞳が欲しい
くり貫くなんて簡単なこと
無機物と化した硝子玉を
果たして愛せるかと
問うのはもう一人の罪人
伸び過ぎた爪や髪を
切り落としてあげよう
痛む手首の痣や隙間
切り落としてあげよう
貴方の瞳が欲しい
光を隠すなんて単純なこと
貴方が映さぬ世界を
果たして愛せるかと
問うのはもう一人の私
切り落としてあげよう
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2009.09.21 埋葬
なんど同じリズムを刻めば
裁きが下るのだろう
なんど同じ炎を灯せば
答えは破れるのだろう
痛む世界はもうなくて
軋む身体はもうなくて
悪魔は総てに平等で
どんな偽善にも靡かない
彼らに乞うものは
美しき光 誰かの嘆き
所詮は染まりきれぬ刻印
なんど同じ悪夢を横切れば
涙は溢れるのだろう
なんど同じ孤独を抱けば
言葉は崩壊するのだろう
痛む世界はもうなくて
軋む身体はもうなくて
最果てで響く紅は
どんな温度を砕くの
彼らが哂う者は―――
煉獄で揺らめく契りは
どんな痛みに答えるの
彼らが添うものは
愚かしき罪 私の叫び
所詮は捨てきれぬ世界
2009.09.13 鏡花
あいつが笑ってる
なんて完璧で醜い
一番嫌いなあいつが笑ってる
なんて綺麗な言葉で
拒絶を繰り返すのだろう
傷ひとつないのは何故
之ほどまでに嘆いてきたのに
強かさを誰が見抜けただろう
悪魔を殺めたわたしを
あいつは詰らない
それは誰の涙かさえ
混乱の果てに溺れていくのだから
愚かしいあいつが笑う
愚かしいわたしが泣く
なんて僅かな本性
誰も裂くことはしない
解せないのは何故
未だ沈黙を抱いてきたのに
愛されるべく映し出した
わたしを殺めたあいつを
誰もが抱きしめた
それはまるで炎のよう
何度もの嗚咽は燃え尽きたのだから
燃え尽きたのだから
(鏡に映ったのは果たしてあいつか、それともわたしだったのか)
2009.09.02 瞳が焼ける意味を
溶けていくのなら
なんにも哀しくは無い
ただじくじくと痛む
この血の背中をなぞって
今を抱いて溢れてゆくのは
やはり今で 後悔を彩る
そんな空しさを
誰かが埋め立てるのなら
この手は泥にまみれてゆくの
躊躇いなんてどこにもない
可哀想と嘆かず 笑って
どうかと願うのは苦しいから
どうぞと差し出すのは寂しいから
淵になんて立たないで
生きるためだけに生きて