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紅い徒花

2009.03.26 透明人間

僕の存在って何だろう。
時折、それは小さく密やかに思考をめぐらす。
大丈夫、と笑う僕が僕らしいと言う。
卑屈になって、誰かを恨んだりするのは僕らしくないと言う。
繕う僕を人は肯定するから、また小さな嘘をつくんだ。
笑い顔も慣れて、眉間の皺はすっかり消えたけど、人は認めてくれるけど、そうして君はそれが似合うと笑うけど。
大丈夫、今度は心の中でぽつり。
まだ寂しいと、悲しいと、思うから。そうして憎む気持ちだってあるから。
僕は此処にいる。僕しか知らない僕がいる。
きっとそれが僕の存在。

(君が肯定の言葉で僕を否定するから)

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[小説]

2009.03.22 雨

青空は枯れて
アスファルトは黒く染まりはじめ
ざあざあ孤独は水嵩を増す

説かれた真実より
君の嘘は輝いて見えて
目を逸らすことさえ出来ずに
この瞳は焼かれていく


暗雲は散らず
窓ガラスを未だ殴り続け
ごうごう理想をちらつかせる

急いた幻なら
君の声は遠のいていって
諦めることさえ出来ずに
その夢はうずくまる


テレビは瞬き
安っぽく語りかけてきて
じくじく思考を掠め取る

描いた幻聴なら
泥も流してはくれない
それならこの箱で独り
さよならを呟こう





[]

2009.03.18 貴方は優しさのふりをする

ひからびた思い出を抱えて
如何して歩けるの
泣きたくなるのはきっと
声をなくしたから

貴方は綺麗なものを
集めては並べたがる
言葉の羅列なんか
響くはずもないのに
届くはずもないのに


こわれた宝物は沈んで
如何して笑えるの
聴こえるのはのはきっと
答えじゃない

貴方は怯えながらも
叫んでは許したがる
ありふれた理由など
色褪せているのに
煌くはずもないのに

貴方は瞬きを失い
歪んでは逃げたがる
そんな正しさなんて
必要もないのに
望むはずもないのに

[]

2009.03.10 足音

降り積もる毒
絡みつく声が
私を蝕んでゆくけれど

凍りついた想いは
変わることは無いでしょう
蕾のままなら
枯れることは無いでしょう


失速する痛み
抵抗はやめた
微笑みも消えたけれど

耳鳴りは雑音を
かき消してくれるというのに
逸る鼓動は心を
打ち消してくれるというのに


如何して願うことは無いのでしょう
如何して足音を刻むのでしょう

[]

2009.03.10 忘却の病

一つずつ記憶を失っていく。
一番大切なものから忘れていく。
蔓延した病が僕らを包んでも、君が僕を分からなくなっても、
大丈夫。
「僕が君を忘れることは無いよ」

[小説]


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