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紅い徒花

2008.03.20 イタズラ

紅いクレヨン握って
街を塗りつくせ
黄色いスプレー持って
コンクリート染め上げろ
青い風船飛ばして
灰色の空埋め尽くせ

さぁ 始まるよ
僕らの悪戯が 最後の悪あがきが
生きていく上で
好奇心は捨てちゃいけない
この世界の中で
大切な人を忘れてはいけない

さぁ 出かけよう
僕らの楽園へ 始まりの街へ
何をしても良い訳じゃない
その辺は分かるだろ?
何を賭けるかは自由だけれど
それでいいんだな?

もう やめようよ
後悔なんて 懺悔は終わりだ
たどり着いた場所で 何を求めてる?
おまえは何を望んでる?
理想の世界はないけれど
新しい世界は待っている
くだらない常識なんて
捨ててしまえば良い
誰かに囚われるより
誰かの支えになればいい

もう 迷うなよ
逃げた現実を 進む道を
捕まえろ!



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2008.03.18 創られた嘘偽り

嘘偽りなくとアンタは言った
それは美徳か偽善か
濁ったその心を見せてごらんよ
嘘だって偽りだって
アンタの中にはないだろう
其処には何にもないのだから

嘘偽りなくとアンタは願う
それは孤独か絶望か
澱んだその心を見せてごらんよ
過去だって未来だって
アンタの中にはないだろう
其処には何にもないのだから


創られたアンタは
総てに手を差し伸べた
創られたアンタは
総てに無頓着だった


嘘偽りなくとアンタは言った
それは美徳か偽善か
濁ったその心を見せてごらんよ
嘘だって偽りだって
アンタの中にはないだろう
アンタだっていないだろう


アンタだっていないだろう?

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2008.03.11 水面

水面にうつる私は
とても歪んでいて綺麗だった
そっと私を掬い上げてみれば
指の間から零れていった
悔しくて握り潰してみても
透明な私は地に逃げていった

水面にうつる私は
とても澄んでいて醜かった
そっと私を救い上げてみれば
零れてまた元に戻った
滑稽で踏み躙っていても
透明な私は濁り 澄んでいった


面白い
つまらない
滑稽だ
くやしい

心の中の波紋は
徐々に広がっていき
自分の感情すら掴みとれない

水という名の心は
徐々にかさを増して行き
終には自分すら溺れてしまう


水面にうつる私は
とても歪んでいて綺麗だった
そっと私を掬い上げてみれば
指の間から零れていった
悔しくて握り潰してみても
透明な私は地に逃げていった


零れた私は地に落ちていった

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2008.03.05 メール

「私ね、携帯電話なんてものは無ければいいと思ってたの」
言葉を紡ぐ彼女になんでとさして疑問になど感じてもいないのに私は尋ねる。
真っ白なこの部屋で、私と彼女しかいないこの部屋で、二人分の声が空気に溶けた。
「だって、全てほかのもので代用できるのよ。
メールじゃなくて手紙で、電話じゃなくて直接、伝える方法があるのに。どうして皆あんなものに頼るんだろうって思ってたの」
彼女はそこで嬉しそうに顔を綻ばせた。
傍らに置いてあったシンプルな携帯電話を手に取ると、優しく包み込んだ。
「でも違ったわ。ほら見て」
ずいと目の前に液晶画面が差し出され、なにをと返すと、いいからいいからと幾つものメールを見せてきたのだ。
「手紙なら独特の暖かさが伝わるけれど、メールなんかじゃ誰が書いたって同じだと同じだと決め付けてたんだけどね」
今度は恥ずかしそうに笑った。

みんな、みんな、全然違うのよ。

「貴方のメールは、すごく丁寧で読みやすいわ、美加のは絵文字ばっかりで読むのがたいへん、皐月のはむずかしい漢字ばっかりで読み難いわ、あとは―――」
捲くし立てるように、でもすごく嬉しそうに彼女は意気揚々と話し続けた。
私は、うんざりしつつも結局、また最後まで聞いてしまうのだ。
いつも彼女は無邪気な笑顔を向けてくるから、何もいえなくなる。誰があの子に真実を告げられるものか。

私は立ち上がり彼女にむけて微笑みを作る。
「またね」
「うん、またね」
彼女も私に向けて微笑みを。
それは無邪気で純粋な微笑み。



病院を出て、深く息を吐いて歩き出す。
「メールなんて一度も出してないのに」




送信者も受信者も同じメールはいつまで増えるのか。





[小説]

2008.03.04 自己防衛術

私の周りは如何してこうも私に優しくないのだろうか。
疲れた体で電車に乗ったのに、誰も私に席を譲ろうとしない。
会社では、私よりも暇な人間もいるのに私にどうでもいいような仕事を押し付ける。
家へ帰ればペットが餌を寄越せとばかりに私の周りをうろつく。
そして待っているものは、家事に洗濯。
何故誰もやってくれないのか。
「酷い」
愚痴を零しながら掃除機をかける。
如何してこうも皆優しくしてくれないのだろう。
しかし、私はそれでも微笑みながら許すのだ。

きっと皆疲れているのよ。
きっと皆余裕が無いんだわ。


私はこんなにも全ての人を労わってる。
冷たく扱われてもめげずに微笑んでる。





ああ、なんて私って善い人なのかしら!

[小説]


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